2016年06月24日

問題点の対応のプロセスについて


製造工程に関してはあまり言及する予定は無いのですが、一つ印象的な出来事について書いてみたいと思います。

現象の把握


以前、リリース後に発生する問題点を限りなく少なくしようと考えて取り組んだ事がありました。
まず取り組んだ事は起きている事の正確な把握です。
起きている事というのは問題点自身の事では無くて問題点を作り込んでいる事象の事です。つまりいかなるミスによって問題点を作り込んでいるのかを明らかにするという事です。起きている事が分かれば対策も自ずと分かるはずです。

元々問題点を対応してリリースする時には、担当者に内容を説明してもらって審査し承認したら初めてリリースというプロセスになっていたので、問題点の内容については全て把握はしていました。しかし該当の問題点の対応方法が妥当なのかを判断する趣旨だったので、いかなるミスによるものかを詳細に分析する為には情報が足りませんでした。そこで考えられるミスを類型化してリストアップしチェックを付ければミスの種類が明確になる書類を作りました。例えば以下の様な感じです。
□記述ミス
 例:==のところを=と打ち間違えた
□文法勘違い
 例:演算子の優先順位を誤解した
    :
これらの様な単純なミス以外にアルゴリズムが間違っていたパターンや設計に起因するパターン等なるべく漏れが無いように多くのパターンをリストにしました。これを、問題点を対応してリリースする時の審査の書類として追加して運用する事にしました。

明らかになった事実


運用を始めてしばらくして書類が段々溜まりだしたら全く予想外の傾向になっている事に気が付きました。何十枚かある書類の中に製造に起因する問題点は一つも無かったのです。全て設計に起因する問題点でした。
設計に起因する問題は設計を直さない限りは対応しても対応してもまた出て来る様な性質の悪いものだったりするので、リリース後に時々単発で出てくるようなものは製造の単純なミスだと思っていたのです。それにそもそもそれまで審査の時の説明で設計の問題に聞こえた事はありませんでした。説明の内容が合理的で対応の仕方に納得が行った時にしか承認してこなかったので自分自身も妥当なものと判断したものばかりでした。なのでこの結果は全くの予想外で非常に驚きました。

設計の審査


この結果を受けて審査の時の書類に設計書を義務付けました。(ただし全部では無く問題点に関係する部分のみ)本当に問題の原因が設計に起因するのならば、設計の修正が必要でその内容をレビューする必要があるからです。

設計書を義務付けて運用を始めてから更に驚きました。
対応内容がしばしば間違っていたのです。
それまで担当者が説明してきた問題点の対応の仕方に間違っていると思った事はほとんどありませんでした。それが設計書ベースで審査し始めたらその内容がしばしば間違っていたのです。どうやら設計の視点から対応方法を検討したのではなく、コードの修正が先行してその内容を設計書に反映したようでした。つまり設計の問題を製造で対処している訳で間違っているのも当然です。今まで気づかなかっただけで長い間そういう対応でリリースしていた事になります。自分の考えではコードに手を入れる場合には、その箇所だけでは無く周辺も含めて少し整理して綺麗にする位の気持ちで手を入れないとどんどんコードが汚くなって腐って行ってしまいます。設計の問題を製造で対処したというのはまさしくそういう事なので、今まで気づかずにどんどんコードを腐らせて行っていたという事でした。

原因


なぜそういう事になってしまったのかと考えると。多くのプログラムは対応した本人が作ったものでは無く他人が作ったものを引き継いだものでした。また古いものは設計書の質が悪く設計書を見て対応方法を検討できるレベルのものではありませんでした。そういった複数の事情から、原因を調べる過程でまずコードを追い始めてそのまま設計に立ち返る事無くコードを修正して終わりにしていたのだと思われます。
そして最大の原因は問題点の対応に関して審査をするプロセスが専用の簡易なものになっていた事です。新規に開発する場合やバージョンアップで修正する場合等は各種文書の出力やレビュー等の品質を確保するプロセスが整っていたのに、リリース後の問題点の対応の場合は極めて簡略化されたプロセスになっていたのです。結局そこを潜り抜けたという事になります。
対応した結果つまりプログラムの動作の品質には審査が厳しく課せられていたので、そちら側に注力するあまり対応の仕方側が手薄になったと言えるかもしれません。しかし設計を間違えるという事は借金を背負う様なものなので長期的にじわじわと首を絞める事になっていたのでしょう。

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posted by 善 at 20:55 | Comment(0) | TrackBack(0) | 製造 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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