2016年06月15日

技術的な話し方

  更新日:2016年7月13日(水)
初めての方はこちらを「はじめに

今回は話し方についてです。
「技術的な」と付いているものの実際はビジネス全般で必要な局面があるとは思います。ただ、技術者ならば必ず必要だろうという思いです。

曖昧な表現


曖昧な表現というのは主には具体的な値(内容)ではなく修飾的な表現という事です。
例:
「きっちり品質を確保します」
「しっかり進めます」
「きっちり」とか「しっかり」というのは気持ちの話なのでその心意気は良しとしても具体的には何なのかを表現してもらわないと何も分かりません。何をどうする事で「きっちり」を実現するのか?そういう事を表明しなければただ気持ちを伝えただけという事です。勿論そういう場もあるでしょう。しかし技術的な会話をしている時にそういう情緒的な表現だけではただの精神論になってしまいます。

計画通りに進めるという観点から言えば時間に関する表現が曖昧な場合は影響が大きいです。
例:
「来月の頭の方ではできると思います」
「近いうちに次回を開催します」
こういうのはトレーニングですからなるべく細かく表現するべきです。「来月の頭の方」と言っている時は頭の中での見積もりがその程度の雑なイメージになっているのです。仮に「第一週中」とか「○月○日」等と具体的に宣言してその結果がずれたとしてもそれもトレーニングになるのです。トレーニングになってより正確な見積もりをイメージして行く助けになるのです。曖昧な表現をしている限りはいつまでたっても曖昧なイメージのままです。
少なくとも時間に関しては決して曖昧な表現を使うべきではありません。その代り間違ったからと言って問題視するべきではありません。訂正すれば良いだけです。皆で厳密な表現を使う事が当たり前になって行けば皆の能力が自然と向上して行くのだからそれでいいのです。

曖昧な表現と言うのは結局楽をしたいだけなのです。トレーニングを避けたいだけなのです。もし電車の到着時刻が「なるべく早く」とかだったら運転する側にとっては楽ですが、いつ到着するのか分からないのでは言われた方にとっては大変です。最初は「午前中に到着」でもいいのです。そうすればそのうち「10時位に到着」と言えるようになって、更に「10時15分着」と言えるようになるかもしれないのです。しかし「なるべく早く」と言っている限りは多分ずっと変わらないでしょう。

あと実際にスケジュールが明確になっていなくて宣言できない時もあると思います。しかしそういう時は「いつ明確にするか」のスケジュールを宣言するべきです。

ぼやけた語尾


これは努力目標というレベルのものです。
判断を述べる時等に語尾がぼやけているのはあまり良くないという話です。
例:
「そこはAがいいんじゃないかなぁと」
日本人は婉曲的な表現が体に染みついています。例えば韓国人のこんな意見を目にした事があります。
「日本人の『~したいと思う』という表現が理解できない。したいなら『~したい』でいいだろうに」

ただの婉曲表現ならば良いのですが問題はその後に理由を尋ねても答えられない場合です。根拠が無くてなんとなくそういう風に思っているという事なのです。問題は常にそういう感覚的な判断をしている可能性があるという事です。例えば仕様を決める時に根拠が無いという事はありません。そういう時でも感覚的な判断をしているとしたら問題だという事です。
以下の様に断定的な表現をすると理由を述べざるを得ないので感覚的な判断に陥る妨げになります。
「そこはAがいいと思います」
「なぜなら○○が△△しているので□□になりますから」
勿論根拠が無くとも発言するべき場面は普通にあります。そういう時はまさしく事実の通り感覚的な表現にすれば良いという事です。

順番


これは難関です。
簡単に思えますが本当に難しいです。ここで順番と言っているのは簡単に言えば「結論を先に持って来て欲しい」という事です。
例:
「ユーザーの○○で△△があって...~なので残業してもいいですか?」
    ↓
「今日残業させてください。実はユーザーの○○で△△があって...」
前半の「~で、~て...」の部分を言わない様にしろと言っている訳ではないのです。単に「順番を変えて欲しい」と言っているだけなのです。結論を前にして説明を後に。にもかかわらずその順番では途端に皆しゃべれなくなります。

「全部聞くなら順番を変えても同じじゃないか?」と思う人が居るかもしれません。ところが違うのです。先に説明を話し始めると最後の最後までずっと聞いていてもそれだけで終わってしまって結局結論が無い場合が良くあるのです。
例えば進捗の確認をした時に
「○○で問題が出て~して~になりましたが今対応しています」
という報告が返って来たリします。
それで結論としては間に合うのか間に合わないのか...肝心の結論が無いのです。
この場合ならば
「一応計画通り終了予定です」
「ただし○○で問題が出て~して~になったため今対応しています」
という具合に結論を先に持って来れば抜ける事は無いのです。
順番は常に「結論+補足説明」として心がけるべきです。

正直言って全ての人がこの様に話せる様になる訳ではありません。しかし話せる様にならない人でも説明を話し始めた時に「まず結論を...」と促すと「あっ」という感じで結論を話し始めます。少なくとも頭の中には結論はある訳で、結論を持っていないという様な状態ではなくなります。

日本語


順番が簡単に変えられないのは個人的には日本語が大きな原因ではないかと思っています。
日本語はご存じの様に構造としてはS+O+Vで述語が後ろに来るので、最後まで聞かないと結論が分からないのです。そして言語学的には膠着語という分類になります。この膠着語というのがポイントで日本語では助詞を伴って文を幾らでも長く伸ばせます。幾らでも長く伸ばせる上に最後まで聞かないと結論が分からないという、ビジネス的にはなんとも性質が悪い限りです。この様な特徴を持つ日本語を生まれた時から吸収して成長して行って、もし何かを考える時に言葉で考える事がメインになっていたならば、単に順番を入れ替えるといっても思考や発想そのものの変更を多少なりとも要求しているのかもしれません。もしそうだとしたらきっとハードルは高いことでしょう。
ちなみに英語に代表されるほとんどのヨーロッパの言語は屈折語という分類で、中国語は孤立語という分類になり、日本語、英語、中国語で言語学上の三大分類を網羅する事になります。英語と中国語の構造はS+V+Oで、しかも日本語の様に後ろに際限なく伸ばす様な事は出来ません。主語も必須ですし語順も厳格です。日本語に比べると文の構造がかなり固定的なのです。日本語ではそういう簡潔さは意識しないと得られないと思います。なので日ごろから意識をしてトレーニングを積む事が必要です。

使い分ける


以上技術的な話し方として三点挙げました。
しかしこれはいつでもこのスタイルがいいという訳ではありません。例えば政治家が記者会見で「○○についてはしっかりと対応して行きたい」等という発言を良くします。これはこれで良いのだと思います。この発言を聞く側つまり国民は言わば普通の人々であって、普通の人は普段の会話は大体雰囲気とか印象でしているものです。それに多くの人は内容を詳細に理解したいというよりはむしろ「しっかりやる」というこの政治家の意気込みを確認しておきたいのだと思います。ビジネスの場においても内容よりもむしろ気持ちを伝えなければならない場面は沢山あります。従って使い分けが必要です。

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posted by 善 at 20:20 | Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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