2016年04月10日

売れない小説家のジレンマ


大きな壁


「売れない小説家のジレンマ」というのは自分で勝手にそう呼んでいるだけで何かそういう理論がある訳でも何でもありません。「どうしたら予定通りに進められるのか」という事を真剣に考え始めた時に突き当たった大きな壁がこれでした。
どういう事かというと、売れない物書きがいるとします。小説を書いて華々しいヒットを夢見るのですが現実はそうはいきません。食って行く事が出来ないのでアルバイトをして食いつなぐ事になります。しかしアルバイトをするものだからなかなか小説を書く時間が取れません。書く時間が取れないおかげで小説を書く能力が向上しません。能力が向上しないので小説で食って行く事がおぼつきません。食っていけないのでアルバイトをせざるを得ません...

まぁ「小説家」と呼ぶ人達は本当は食べていけている人達の事を呼ぶような気もするし、何も小説家じゃなくとも漫画家でも役者でもいくらでも同様の境遇はあるのでしょうけど、なんとなく音の響きとイメージがしっくりきて「小説家」を使わせてもらっています。

どうすればいいのか?


それではどうすればいいのでしょうか?
本当に小説の場合ならば少しずつ書き溜めて完成した作品が評価されて売れれば一気に状況は好転するのかもしれません。
では計画の場合はどうなのでしょう?
何かを少しずつ溜めて行くとどこかで一気にブレイクするのでしょうか?
この問題に突き当たった時、何回考えてもそんな事が起きるようには思えませんでした。先程の例のような個別の事象では無くてより本質的に、計画を遂行する能力自体に関するジレンマに思えていました。
つまり
能力が低いと計画通りに進められない
能力を上げるための取り組みをしなければならない
能力が低いのでそのような時間が取れる状態では無い

という事で、要は能力が低いと仕事に追われて能力を向上させる時間が取れないという図式です。どうにも袋小路で出口が無い様にしか思えませんでした。

単純な解決策として思い浮かんだのは上司なりに掛け合って能力向上の為の時間を確保させて貰う事でした。しかし、右肩上がりで成長していて大幅な黒字を出しているような組織でも無い限りそんな余裕があるはずも無いのは自明でした。そもそも計画通り順調に目標を達成して来ているならまだしも慢性的に遅れているような状態で、能力向上の為の時間などというものを設けたとしても遅れが出た途端にリカバリーの為に消費されてしまって吹き飛ぶのは明らかでした。
という事はまずは計画通りに進められるようにならないとならない...ここで無限ループに入ってしまって二度と抜け出られなくなります。

解決不能なのか?


あまりにも答えが見つからない日々が過ぎ、次第に解決できない問題なんじゃないのかと思うようになってきていました。
その時は解決できるという確かな情報に接する事も無かったし、何よりもマイクロソフト等の巨大な企業でも遅れるのが当たり前であったし、また世の中で広く運用されている様なシステムでもトラブルが起きてニュースで目にする事もあったので、もはやソフトウェアというのは人間には飼いならせない猛獣のようなものなんじゃないかという気がしていました。

余談ですが以前NHKの教育番組で若者向けに色々な職業の実態を入社二年目とか三年目とかの若手社員に密着してドキュメンタリー風に伝えるという番組がありました。確か三十分程度の比較的短い番組でした。色々な職業の内実が簡潔に分かるので為になって良く見ていました。
ある時ITの番が回って来て社員が数人の小さなソフト会社が対象になりました。
顧客に商品のプレゼンをするようなところから始まって最後に納品するところまで行くのですが、案の定納品の前日に動かなくなりました...
社員総出で徹夜で問題の解決にあたりどうにか無事納品には間に合いました。
この番組を見た時に「少なくともNHKはこれがソフトウェア業界の代表的な姿だと放送しても問題ないと判断してるという事なんだな」と思い、やはりこれが一般的な姿なのかと納得した覚えがあります。

辿り着いた結論


結局いつまで経っても答えは見つからないしそもそも解決不能な問題なんじゃないかという思いは強まる一方で、「これはダメかなー」と、もはや諦めの気持ちが出てきていました。それ位現実は常に日程に追われていてとても他の事を入れる余裕はありませんでした。しかしその時に、散々修羅場を経験してきたお陰か「まぁ待て待て今一度気持ちを落ち着けて冷静に考え直してみよう」というリセットする気持ちが働きました。そしてしばらく自問自答を繰り返しました。
何も取り組まなかったらどうなるのか?
今と同じ。
これは間違いない。
そもそもなんでこんな事を悩み始めたかと言えばまさしく現状を変えたいから考え始めたのだから何もしなければ当然現状のままです。現状はと言えば先程の番組ではないですが日程なり品質なりの問題で常に長時間の残業や休日出勤を強いられる日々であり、これがずっと続くという事です。
「どう考えてもやはりこのままでは続かない。変えなければならない。」
これは確実です。
もう一つ確信を持っていた事がありました。それは机上の作業(計画)には絶対的に価値があり効率が上がるはずだという事でした。ソフトウェアの場合実際の作業も机上なので分かり辛いけれども元々の意味から考えれば机上というのは要は実際に作業に取り掛かる前に頭の中で組み立てるという事だと思います。もしかしたら対象が実物(ハード)である他の産業に比べたらソフトウェアでは机上による効果というのは少ないのかもしれないけれどそれでもゼロという事は無いはずであって効果はあるはずだと考えていました。

こうして気持ちをリセットして初心に帰る事で「とにかく取り組む以外に道は無い」という強い決意を持ちました。ただ、先行きは全く見えないし問題が解決できるという気には全くなれてはいませんでした。とにかく何も考えずに飛び込むという決意だけを持てた状態でした。この時の心境を後日次の様に例えて語った事があります。崖の中腹でようやく足が載る程度のスペースに立っている状態で周りは霞んでいて視界が効きません。足元はいつ崩れるか分からないしそれよりも何よりもいつまでも立ち続けていられるはずがない。どう考えても体力の限界に達した時が奈落の底に落ちて行く時でそれは時間の問題です。ですが周りが全然見えないのでどうする事もできません。身動き一つできずただ時間がだけが過ぎて行く...そしてとうとう「何もしなければどうせ死ぬ」と思ってとにもかくにも目をつむって上に向かってジャンプする覚悟を決めた。
そういう心境でした。

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posted by 善 at 23:56 | Comment(0) | TrackBack(0) | 計画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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